毎週末は、ドル円・株式市場を含めた金相場価格のウィークリーコメントを。
月末には、マンスリーコメントを提供。
下記に、「2024年1月」のマーケットコメント(週間、月間)をまとめました。
【2024年1月】金相場価格ウィークリーコメント(全5週)
2024年1月・第1週(1/1〜1/5)
2024年1月1日~1月5日週のNY金相場は、経済指標で強弱感が対立し売り買いが交錯する展開となり、金曜日は2049.8ドルで取引を終了しました。
水曜日には、リッチモンド連銀総裁から追加利上げを示唆する発言があり米長期金利が上昇、ドルが買われ金利の付かない金は売り優勢となる場面もありました。金曜日に発表された米雇用統計は予想外の堅調な結果で市場の早期利下げ期待が大きく後退したものの、金相場は底堅く推移しました。
NYダウ平均株価は、買い材料の乏しい軟調な展開が続き週間では10週ぶりの下落となりました。金曜日の終値は37,466.11ドルで取引を終了しています。昨年11月以来の急ピッチな上昇の反動から、S&P500指数やナスダック指数も数カ月ぶりの大幅な下落となりました。来週からの銀行を皮切りにした本格的な決算シーズンを控え、市場では健全な調整の範囲内と受け止められています。
今週は米利下げ開始時期を左右するインフレ指標の発表を控えますので、結果によってはFRB高官の金利予想修正に影響を与えることになりそうです。
週初140円台後半で始まったドル円相場は、週末にかけて円安ドル高が優勢となりました。金曜日の米雇用統計の発表直後に一時146円に迫る場面がありましたが、終値は144円台中盤で取引を終了しています。昨年末と逆の動きとなる米国債利回り上昇によって、ドル買い戻しの流れが強まりました。
国内でも1月1日(月)に発生した能登半島地震の被害の甚大さから、日銀のマイナス金利解除時期が遠のいたのではとの見方が市場に広がっています。大規模金融政策の修正期待の後退から円ショートポジションを巻き戻す展開で、年初のドル円相場も反転の動きとなっています。
1月8日~1月12日週の主な経済指標は、11日(木)に米消費者物価指数(CPI)の発表が、12日(金)に米生産者物価指数(PPI)の発表が予定されています。どちらもFRBの金融政策決定に影響を与える重要なインフレ指標です。
また「選挙イヤー」の幕開けとして、13日(土)に台湾のリーダーを決める台湾総統選挙の投票日を控えます。4年に1度実施される今回の総統選挙は中国との関係が大きな争点になっており、日本をはじめ東アジア情勢に影響を与える可能性もあることから動向が注目されます。
2024年1月・第2週(1/8〜1/12)
2024年1月8日~1月12日週のNY金相場は、週初から4日続落の展開でしたが、金曜日は地政学リスクの高まりで大きく反発し、週間の終値は2051.6ドルと先週比でわずかに上昇して取引を終了しました。
リッチモンド連銀総裁から「インフレが2%台に乗れば金利引き下げに前向きだ」といった発言が伝わったものの、市場が期待している3月利下げ開始を正当化するには至らず、利下げ時期が遅れるのではといった市場の見方から、積極的な買いが手控えられる動きとなっています。
NYダウ平均株価は、小幅な値動きが続き金曜日の終値は37,592.98ドルで取引を終了しました。米雇用統計やインフレ指標など重要イベントが年初から続きましたが、サプライズのない結果からもう一段上値を追う材料に乏しく、本格化する企業決算への警戒感からも昨年来の急ピッチな上昇に対するスピード調整の動きが見られます。
10日(水)には、米証券取引委員会(SEC)がビットコインの上場投資信託(ETF)を初めて承認しました。翌日からETFが取引開始され、ビットコインは4万9000ドルまで上昇する場面がありましたが、その後は「噂で買って事実で売れ」の相場格言通り、週末にかけて大きく売られる展開となりました。
ドル円相場は、週初144円台で始まり火曜日の143円台前半から木曜日には146円台前半をつけるなど、週間では約3円の上下幅で行って来いとなりました。144円台後半で取引を終了しています。年が変わり、140円台後半から一時146円台まで円安ドル高が進んだ背景には、能登半島地震の影響によって早期の日銀マイナス金利解除観測の後退が挙げられます。
また、注目されていた2つのインフレ指標、米消費者物価指数(CPI)、米生産者物価指数(PPI)がまちまちの結果となったことから、方向感に乏しい展開になりました。
1月15日~1月19日週に予定されている主なイベントは、17日(水)に米小売売上高と地区連銀経済報告(ベージュブック)が予定されています。15日から19日にかけては、世界中の政財界のリーダーがスイス東部のダボスに集まり、世界的規模の課題を話し合う世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開催されます。要人の発言に注目されます。
2024年1月・第3週(1/15〜1/19)
2024年1月15日〜1月19日週のNY金相場は、週中には地政学リスクが意識され安全資産として買われる場面もありましたが、週間の終値は2029.3ドルとなり先週比で下落して取引を終了しました。
市場が期待するFRBの早期利下げ観測が後退する中、米国債利回りは上昇しドルが買われ、金は売られやすい相場地合いが続きました。円安ドル高が進行しており、為替要因から国内金価格は先週比で上昇となっています。
今月末30日(火)〜31日(水)開催の次回FOMCに向けて、FRB高官の金融政策に関する発言を禁じるブラックアウト期間入りとなります。
NYダウ平均株価は、金曜日の終値は37,863.80ドルで取引を終了し、史上最高値を更新しました。人工知能(AI)関連需要への拡大期待から半導体関連株やハイテク株が連日買われ相場上昇の牽引役となり、S&P500指数も終値ベースで2年ぶりに史上最高値を更新しています。引き続き主要企業の決算見通しが注目されます。
ドル円相場は、週初144円台後半で始まり週末にかけてドル買いが優勢の展開となりました。金曜日には一時149円台をうかがう動きを見せるなど、週間では約4円幅の円安ドル高水準で推移し、148円台前半で取引を終了しています。
米金融当局者から早期利下げ開始観測へのけん制発言が相次ぎ、利下げ期待の後退に伴うドル買いと、国内ではマイナス金利解除が当面見送りの公算が強まる中で円売りが進み、日米の金利差に着目した円安トレンドでの推移が続いています。このままのトレンドが継続すれば、150円を巡る攻防戦の可能性もあるでしょう。
1月22日〜1月26日週に予定されているイベントでは、22日(月)〜23日(火)に日銀の金融政策決定会合が開催されます。23日(火)に会合結果公表と総裁会見が予定されていますが、市場では金融政策の現状維持が大方の予測でもあり、大規模金融緩和政策の修正について踏み込んだ発言があれば、為替を中心にサプライズとして受け止められる可能性があります。
またFRB高官のブラックアウト期間(1月20日~2月1日)になります。
2024年1月・第4週(1/22〜1/26)
2024年1月22日〜1月26日週のNY金相場は、30日(火)〜31日(水)に開催されるFOMCを控え手掛かり材料難となる中、方向感のない展開から終値は2017.3ドルと先週比で小幅に続落して取引を終了しました。
発表された米経済指標はインフレ鈍化傾向を示しており、早期利下げの期待感は薄れ開始時期の後ろ倒しを織り込みながら、5月の利下げ開始予想が優勢となっています。
NYダウ平均株価は、金曜日の終値は38,109.43ドルで取引を終了し、前週に続いて史上最高値を更新しました。木曜日発表の米半導体大手インテルの業績見通しが市場予想を大きく下回り、ハイテク株を中心に利益確定の売りに押される場面もありました。29日(月)以降もハイテク関連株の決算発表が続々予定されており、個別企業の業績見通しで左右される相場地合いが続きます。
週初148円台前半で始まったドル円相場は、週間では小幅な値動きに終始し、週初と同水準の148円台前半で取引を終了しました。
22日(月)〜23日(火)に実施された日銀の金融政策決定会合では政策金利の据え置きが決まり、日銀総裁会見でもマイナス金利解除時期への具体的な言及がなかったことから材料視されず、ドル円相場は円安ドル高の流れが一服しました。翌週のFOMCと米雇用統計結果を見極めたいとのムードが市場に広がり、限定的な値幅内で推移しています。
1月29日〜2月2日週に予定されているイベントでは、30日(火)〜31日(水)に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催、2月2日(金)には米雇用統計と米ISM製造業景気指数が発表され、重要な経済指標が続きます。
今回のFOMCでは、FRBは政策金利の据え置き見通しが有力視されており、仮に米雇用統計が強い結果であった場合は3月の利下げ期待がさらに後退するとの観測から、ドル買いが再び強まる可能性も想定されます。市場ではFRBの5月利下げ開始を徐々に織り込む様相です。
2024年1月・第5週(1/29〜2/2)
2024年1月29日〜2月2日週のNY金相場は、週後半にかけて4日続伸となる2053.7ドルで取引を終了しました。
FOMC後のパウエルFRB議長発言を受けて早期利下げ開始期待が大きく後退する中、中東情勢の地政学リスクの高まりとFOMCや米雇用統計といった重要イベントを通過したことで、金は買われやすい地合いとなりました。
NYダウ平均株価は、金曜日の終値は38,654.42ドルで取引を終了しました。アマゾンやフェイスブックを運営するメタなどハイテク株の好決算が続き、予想を大きく上回った米雇用統計から労働市場の強さが再確認され、実態経済の成長期待が株式市場へのポジティブ材料となり、連日史上最高値を更新する展開が続いています。
ドル円相場は、週初148円台前半で始まり、米雇用統計の発表を控えた木曜日には一時145円台後半までドルが売られる場面がありました。
30日(火)〜31日(水)に開催されたFOMCでは予想通り政策金利の据え置きが決まりましたが、FOMC後のパウエルFRB議長会見で3月利下げが否定され、市場が期待する早期利下げ開始観測が大幅に後退しています。
また、2日(金)に発表された米雇用統計が事前予想を大きく上回る強い結果となり、利下げ開始時期はさらに遅れるのではといった見方が広がりました。米雇用統計の結果を受けて米国債の利回りが急伸し、ドル買いが強まる展開から148円台前半まで円安ドル高が進み週間の取引を終了しました。
2月5日〜2月9日週に予定されているイベントでは、2月5日(月)に米ISM非製造業景気指数が発表されます。ヨルダン北東部の米軍基地が攻撃され米兵が死亡した問題を受け、バイデン米大統領は声明を発表し、週末にはアメリカ軍がシリアなどで親イラン武装勢力に対する報復攻撃を行いました。
空爆が続けば中東情勢の緊迫状態が一層高まることから、安全資産としての金買いがさらに意識される展開も想定されます。
【2024年1月】金相場価格マンスリーコメント
2024年1月のNY金相場は2072.7ドルで取引をスタートしました。1ヶ月通してみると方向感の乏しい展開が続き、2023年12月終値比較ではほぼ変わらない水準の2067.4ドルで1月の取引を終了しました。国内の金価格は、前月終値比で189円上昇となる10,555円で終了しています。1月の金相場価格に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。3日には米リッチモンド連銀総裁による追加利上げを示唆する発言があり、米長期金利の上昇によってドルが買われ、金相場は大きく反落しました。5日には米雇用統計が発表されましたが、足元の労働市場の堅調さを示す結果であったことから米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退し、9日には1月安値となる国内金価格で10,310円をつけ金利の付かない資産である金は売られる展開が続きました。11日には米英軍がイエメンの親イラン武装組織フーシ派の軍事拠点に空爆を実施、フーシ派幹部も報復を言及するなど地政学リスクの高まりが強く意識され、安全資産を買う動きから金は大きく反発する場面がありました。16日にはウォラーFRB理事による「利下げのペースを慎重に進めるべき」といった早期利下げ期待への牽制発言が伝わり、金は再び売り優勢となりました。また3月利下げ確率低下との見方が市場に広がり始め、米国債の利回りが上昇しドル買いの流れが強まりました。月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え金相場は小幅な値動きが続きましたが、28日にヨルダン北東部の米軍基地が攻撃され米兵が死亡し、中東情勢の緊張感が高まる中でバイデン米大統領が対応を決定したとの発表が市場に伝わると、米軍の報復攻撃が意識され安全資産として金の重要が高まりました。30日〜31日に開催されたFOMCでは、事前予想通り政策金利の据え置きが決定。FOMC後のパウエルFRB議長の会見では早期利下げに慎重な姿勢が示され、3月利下げ観測が大幅に後退しました。そのため、5月の利下げ開始の可能性について、一気一憂するマーケット展開が続きそうです。
提供している金相場価格の専門家コメントは、バリュエンスジャパン株式会社(東証グロース上場、証券コード:9270)が運営している、ブランド品・貴金属・骨董品等の買取及び販売を全国展開する「なんぼや」公式ホームページに掲載されています。
【監修者情報】
水野崇(みずのたかし)
金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。