毎週末は、ドル円・株式市場を含めた金相場価格のウィークリーコメントを。
月末には、マンスリーコメントを提供。
下記に、「2024年3月」のマーケットコメント(週間、月間)をまとめました。
【2024年3月】金相場価格ウィークリーコメント(全4週)
2024年3月・第1週(3/4〜3/8)
2024年3月4日〜3月8日週のNY金相場は、2185.5ドルと前週比で大幅に上昇して週間の取引を終了しました。
ドル建て金価格は米経済指標とドル安を支援材料として、月曜日から金曜日まで全営業日連続での上昇となっています。国内金価格も4日(月)に過去最高値を更新しました。
NYダウ平均株価は、2週続けての下落となる38,722.69ドルで金曜日の取引を終了しました。4日(月)の東京株式市場では、日経平均株価が初めて40,000円台の大台に乗せ大きな話題となりました。指数を構成するハイテク株を中心に買いを集め、8日(金)のザラ場では一時40,400円まで上昇する場面もあり、歴史的な株価水準で推移しています。日銀の金融政策を巡って警戒感も台頭していることから、高値波乱で大きく乱高下する場面も想定されます。
ドル円相場は、週初150円ちょうど近辺でスタートし、週後半にかけてドル売りが強まる展開となりました。6日(水)に行われたパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言では、「米国のインフレ率が目標とする2%に向かっていると確信できれば、景気後退(リセッション)を引き起こさないよう利下げを始めるのが適切」との議長見通しが示されました。
さらには、8日(金)に発表された米雇用統計の結果が米労働市場の減速可能性を示唆する内容であったことから、ドル円は一時146円台中盤を付けるなどドル安が急速に進行、147円ちょうど近辺で週末の取引を終了しています。国内でも日銀のマイナス金利政策解除の思惑から、日米の金利差縮小を先取りした円買いドル売りの動きが見られます。
3月11日〜3月15日週の主な経済指標は、12日(火)に米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されています。米利下げ開始時期の見極めに市場の関心が集まる中、CPIがインフレ鈍化傾向を示す結果であった場合には、早期の利下げ観測を受けたドル売りが再び加速する場面もありそうです。
国内金価格が2023年12月4日の前回最高値10,819円を上回り、11,000円台に乗せ史上最高値を更新する動きとなっています。今後も高値更新が続くのかが注目されます。
2024年3月・第2週(3/11〜3/15)
2024年3月11日〜3月15日週のNY金相場は、2161.5ドルと前週比で下落して週間取引を終了しました。
ドル建て金価格は11日(月)まで8営業日連続上昇し過去最高値を更新しましたが、12日(火)発表の米消費者物価指数(CPI)と14日(木)発表の米生産者物価指数(PPI)が米国経済のインフレ高止まりを意識させる格好となり、利益確定の売りによって上値を抑えられる展開となりました。
国内金価格はドル円が149円近辺で推移しており、14日(木)に過去最高値を更新する11,296円をつけました。
NYダウ平均株価は、週間ベースで3週続落となる38,714.77ドルで金曜日の取引を終了しました。発表されたインフレ指標が予想以上に強い結果であったことから、米株式市場は実態経済よりも買われすぎでバブルの様相を呈しているとの声が聞かれます。そのため、今後は本格的な調整相場を迎えるのではといった警戒感が市場で広がり始め、高値追いには慎重な相場地合いとなりそうです。
国内でも日銀が17年ぶりに政策金利を引き上げ、マイナス金利解除によってゼロ金利政策への移行が想定されていますが、上場投資信託(ETF)の新規購入は停止する方向です。植田日銀総裁発言内容によっては、日経平均株価も大きく乱高下する場面がありそうです。
ドル円相場は、週初147円ちょうど近辺でスタートしましたが、断続的にドルが売られた前週とは逆の動きが見られました。週間では円安ドル高方向での推移となり、149円ちょうど近辺で週末の取引を終了しています。市場では夏頃の利下げ開始観測が引き続き優勢ではあるものの、FRBの利下げ時期は6月からやや後ずれを予想する展開となっています。
3月18日〜3月22日週は、市場が注目する重要イベントが続々控えます。18日(月)〜19日(火)に開催される金融政策決定会合では、日銀が2016年1月に導入したマイナス金利政策の解除を決定する見通しです。
マイナス金利解除とあわせて長短金利操作(YCC)の撤廃方針が伝えられており、緩和的な金融環境は依然として維持されるのかという点が次の焦点になります。
また、19日(火)〜20日(水)にはFRBが金融政策を協議する米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。国内金価格は11,000円超え後も堅調に推移し、過去最高値更新を継続しています。
2024年3月・第3週(3/18〜3/22)
2024年3月18日〜3月22日週のNY金相場は、2160.0ドルと前週終値ではほぼ変わらずの水準で週間の取引を終了しました。
19日(火)〜20日(水)に実施されたFOMCは市場予想通り金利据え置きとなりましたが、年3回の利下げ見通しが示されたことを受けて金利の付かない金への押し目買いが続き、ドル建て金価格は過去最高値を更新しました。
国内金価格はドル円が151円台に突入している円安後押しによって、21日(木)には過去最高値を大幅に更新する11,643円を記録し堅調な展開で推移しています。
NYダウ平均株価は、週間ベースで4週ぶりに上昇し39,475.90ドルで金曜日の取引を終了しました。月曜日からの4連騰で合計1,000ドル超の上昇を見せるも、22日(金)には利益確定の売りに押されました。また、S&P500指数は今年に入って週間ベースで最大の上昇率となり、FRBの6月利下げ観測を背景とした株式市場への買い意欲は引き続き旺盛です。
国内では、18日(月)〜19日(火)に実施された日銀の金融政策決定会合で2007年以来17年ぶりの利上げが決まりました。今後の利上げペースも緩やかな見通しであったことから一部で懸念されていた下押し圧力はなく、投資家の買い安心感を誘いながら日経平均株価は力強い上昇を見せています。
FOMCと日銀決定会合を波乱無く通過したことで、日米の株式市場がともに史上最高値を更新する展開となりました。
ドル円相場は、週初149円ちょうど近辺でスタートし、その後は円安ドル高方向で推移しました。日銀の金融政策決定会合を経てドル円相場は円安が大幅に進行、一時151円台後半をつける場面がありましたが、週間の取引は151円台中盤で終了しています。
22日(金)には、市場予想に反してスイス中央銀行の利下げが発表されました。他の主要中央銀行も利下げを行うか注目されています。
3月25日〜3月29日週の主な経済指標は、29日(金)に米個人消費支出(PCE)デフレータが発表されます。同指標はFRBがインフレ動向を判断するため注視しており、結果によっては物価への警戒感が広がることで米利下げ見通しにも影響を与えそうです。
外国為替市場では、ドル円が34年ぶりの円安となる152円を試す展開が想定されます。その場合は、介入への警戒感も一層高まることになるでしょう。
2024年3月・第4週(3/25〜3/29)
2024年3月25日〜3月29日週のNY金相場は全営業日で値上がりし、前週比では大幅上昇となる2238.4ドルで過去最高値を更新して取引を終了しました。
FRBの6月利下げ見通しを背景にした押し目買い意欲は強く、金相場は底堅く推移しています。28日(木)には「利下げ回数を減らすか先送りするのが適切だ」とのウォラーFRB理事の発言が市場に伝わり、翌日29日(金)にはパウエルFRB議長からも「利下げを急ぐ必要はない」として、経済指標を慎重に見極めながら利下げ時期を判断する考えが改めて示されました。
FRBの利下げ期待による金買い需要は旺盛ですが、米国経済指標がインフレ低下を示唆しておらず、利下げ開始時期の先送りリスクになっています。
国内金価格は歴史的な円安水準に位置するドル円相場が支援要因となり、連日過去最高値を更新しながら12,000円に迫る水準にまで急伸しています。
NYダウ平均株価は、週間ベースで2週連続の上昇となり39,807.37ドルで金曜日の取引を終了しました。S&P500指数が過去最高値を更新するなど、FRBの利下げ期待を追い風とした株式市場への資金流入が年始より続いています。
上昇相場を牽引する主役銘柄としては、人工知能(AI)向け半導体で圧倒的な世界シェアを占める米半導体メーカー・エヌビディアが挙げられるでしょう。エヌビディアの株価は年初から80%超急騰しており、国内でもAI関連銘柄が好業績への期待感によって幅広く買われる展開です。
151円台前半で始まったドル円相場は、週間では限定された値幅内での動きに終始し、週初とほぼ同水準の151円台前半で取引を終了しました。27日(水)の東京市場でドル円が1990年7月以来、約34年ぶりとなる152円に迫る場面があり、一時151円97銭をつけ大きなニュースとなりました。
田村日銀審議委員による緩和継続発言を受けて円安が急速に進行したことから、財務省、日銀、金融庁の三者会合が緊急開催され、さらには神田財務官による円安けん制発言によって、当局として152円は死守する強い意思を国内外に示す格好となりました。
4月1日〜4月5日週の主な経済指標は、1日(月)に米ISM製造業景気指数が、3日(水)に米ISM非製造業景気指数が、5日(金)に米雇用統計がそれぞれ発表されます。米国経済のインフレ率低下に確信を持てる経済指標の結果が、当局の利下げ判断材料の柱となっており、利下げ時期と年内利下げ回数の見通しに影響を与える重要経済指標が注目されています。
最高値更新が続く国内金価格は12,000円を超える展開が期待されます。
【2024年3月】金相場価格マンスリーコメント
2024年3月のNY金相場は2052.8ドルで月間の取引をスタート。金相場は月初から上昇日が続き、過去最高値を更新する2238.4ドルで3月の取引を終了しました。インフレ指標の弱い結果を受けて外国為替市場でドルが売られ金相場は大きく上昇。その後もFRBの6月利下げ期待による押し目買いで高値追いの展開が続き、ドル建て金価格の月間上昇率は約9%に達しています。27日の東京市場ドル円相場が1990年7月以来、約34年ぶりの円安水準を更新、152円目前となる一時151円97銭をつける場面がありました。ドル円相場は151円台を中心としたレンジ相場内で推移し、歴史的な水準に位置する円安が国内金価格を一段と押し上げ、前月終値比で1,117円上昇となる11,893円で終了。国内金価格の月間上昇率は10%を超えました。大幅上昇を見せた3月の金相場価格について、時系列に沿って主な要因を確認してみましょう。1日に発表された米ISM製造業景気指数と米ミシガン大学消費者信頼感指数の結果が市場予想に届かず、外国為替市場でドル売りが強まり、相対的な割安感からドル建て金価格が急伸。国内金価格も大きく値上がりし、2023年12月4日につけた最高値を更新しました。11日のNY金先物は8営業日連続の上昇となり、ドル建て金価格も連日最高値を更新する展開となりました。12日発表の米消費者物価指数(CPI)と14日発表の米生産者物価指数(PPI)が米国経済のインフレ高止まりを意識させる格好となり、利益確定の売りによって金相場の上値がやや重くなっています。28日には「利下げ回数を減らすか先送りするのが適切だ」とのウォラーFRB理事の発言が市場に伝わり、翌日29日(金)にはパウエルFRB議長からも「利下げを急ぐ必要はない」として、経済指標を慎重に見極めながら利下げ時期を判断する考えが改めて示されました。2024年3月末現在は、FRBが利下げに少しずつ近づいており、さらには円安を支援材料として、ドル建て・円建て揃って金価格は過去最高値水準で取引されています。今後も米経済指標の見極めは続きますが、大きく下押しする材料は今のところ見当たらず、国内金価格の12,000円台乗せはすぐそこまで迫っています。
提供している金相場価格の専門家コメントは、バリュエンスジャパン株式会社(東証グロース上場、証券コード:9270)が運営している、ブランド品・貴金属・骨董品等の買取及び販売を全国展開する「なんぼや」公式ホームページに掲載されています。
【監修者情報】
水野崇(みずのたかし)
金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。