毎週末は、ドル円・株式市場を含めた金相場価格のウィークリーコメントを。
月末には、マンスリーコメントを提供。
下記に、「2024年9月」のマーケットコメント(週間、月間)をまとめました。
【2024年9月】金相場価格ウィークリーコメント(全4週)
2024年9月・第1週(9/2〜9/6)
2024年9月2日〜9月6日週のNY金相場は、2524.6ドル(前週終値比0.1%下落)で週間の取引を終了しました。ドル建て金価格は前週同様、FRBの利下げ見通しで過去最高値圏での一進一退の動きが続きます。
3日(火)のISM製造業景気指数、5日(木)のADP全米雇用報告は低調な結果となり、注目されていた6日(金)の米雇用統計は市場予想を下回りました。一連の弱い経済指標が米国の景気悪化を示唆する内容と受け止められ、雇用統計後の為替市場において円相場は円高ドル安に振れ、ドル円は8月5日(月)以来となる一時141円台後半をつける場面がありました。
ドル円をテクニカルで見ると、1ドル=160円台から1日で4円以上も円高が進行した7月11日(木)以降は、現在まで円高ドル安トレンドが継続しています。ドル円は8月15日(木)、9月2日(月)に戻りを試す動きが見られましたが、次の節目としては8月5日(月)の141円60銭台が意識されるポイントになるでしょう。
8月初旬といえば国内の株式市場で歴史的な暴落を記録しました。現状のマーケット環境においても投資家の警戒感が台頭しており、再びリスクオフの様相を呈しています。
円高進行は国内輸出企業の業績下振れリスクにつながることで、週末時点の日経225先物価格は大きく値を下げ前日比1200円超の値下がり幅を記録。この流れを引き継ぎ、週明け9月9日(月)の日経平均株価は先物主導の大幅下落が予想されます。日経平均株価は二番底を探る値動きが見られ、当面は変動幅(ボラティリティ)の大きな乱高下相場に注意が必要でしょう。
9月17日(火)〜18日(水)の米FOMCでは、2020年3月以来4年半ぶりの利下げが決定される見通しです。市場の関心は利下げ幅と利下げペースに移っていますが、9月の利下げ幅が0.50%となった場合は日米金利差の縮小ペースが早まることで、円高ドル安が加速する場面もありそうです。
国内金価格は、円高要因で依然として上値重く推移し、為替のトレンド転換は当面期待できず、13,000円前後で方向感のない展開が想定されます。
2024年9月・第2週(9/9〜9/13)
2024年9月9日〜9月13日週のNY金相場は、2610.7ドル(前週終値比3.4%上昇)で週間の取引を終了しました。
ドル建て金価格は木曜日、金曜日と大幅上昇して8月20日(火)の終値を上回って推移、連日で過去最高値を更新しました。ドル建て金価格の日足チャートでは20日線がサポートラインとして機能し上昇トレンドが継続、今後更なる上昇にも期待できるでしょう。
6日(金)の米雇用統計、11日(水)の米消費者物価指数(CPI)と9月前半の重要イベントを波乱なく通過したことで、前週の動きとは一転しマーケットは落ち着きを取り戻しました。12日(木)には欧州中央銀行(ECB)が理事会で2024年6月以来となる3ヶ月ぶりの追加利下げを決定しましたが、景気減速懸念が根強いことから今回の0.25%利下げで欧州圏の経済を下支えする狙いもあるとみられます。
9月17日(火)〜18日(水)の米FOMCでは、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが確実視されています。利下げ幅は0.25%が有力であるものの、ここにきて大幅利下げに踏み込むのではといった観測が高まっています。大幅利下げへの期待感や警戒感が交錯することで、株式市場や為替市場では一時的に乱高下する場面も想定されます。
20日(金)には植田日銀総裁の記者会見も予定されますが、現状の日米の金融政策は逆方向にあり、外国為替市場では円を買ってドルを売る動きが当面続く見込みです。
日米の金利差縮小を先取りした円キャリトレードの巻き戻しから、13日(金)時点のドル円相場は一時1ドル=140円台前半にまで円高ドル安が進行しました。テクニカルでは140円前後の節目を下回って推移しており、FOMC通過後には円高ドル安が一段と加速する展開も想定されます。
ドル円の130円台は間近ですが、円相場における円高トレンドは国内金価格の上値を抑える要因となります。ドル建て金価格は連日過去最高値を更新する状況にありながらも、このまま外国為替市場で円高ドル安方向へのトレンド相場が継続する限り、国内金価格は依然として13,000円前後の揉み合い水準が見込まれます。
2024年9月・第3週(9/16〜9/20)
2024年9月16日〜9月20日週のNY金相場は、2646.2ドル(前週終値比1.4%上昇)で週間の取引を終了しました。前週に続いての上昇です。
9月17日(火)〜18日(水)に開催された米FOMCでは、2020年3月以来となる4年半ぶりの政策金利0.50%引き下げが決定されました。市場で注目を集めていた利下げ幅は従来の2倍に拡大し、今回のFOMCで米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は、金融引き締めから金融緩和に転換されました。
金相場は、週前半はFOMCを控え様子見姿勢が強まっていたものの、大幅利下げが決定されたことを受けて、木曜日以降のマーケットはポジティブに反応。金利の付かない金にとって利下げは価格上昇要因であることから、19日(木)のドル建て金価格は4営業日ぶりに過去最高値を更新、20日(金)も大幅上昇するなど明確な上昇トレンドを継続しています。
重要イベント通過の安心感から、リスク資産には資金流入が続き株式市場も大きく上昇、19日(木)のNYダウ平均株価とS&P500指数が揃って過去最高値を更新しました。
また、外国為替市場では、FOMCを控えた16日(月)にはドル円が2023年7月以来となる1ドル=139円台をつけ、円を買ってドルを売る動きが見られました。18日(水)のFRBの利下げ決定直後に乱高下する場面がありましたが、その後はドル買い円売りの流れが強まり、20日(金)には144円台前半まで戻りを見せ、足元では円安ドル方向で推移しています。
国内では、20日(金)に開催された日銀金融政策決定会合で、政策金利0.25%の据え置きが決まりました。会合後の植田日銀総裁の発言も特段材料視されず、ほぼ無風の展開に終始。日米で重要指標が目白押しとなった週でしたが、終わってみれば想定範囲内の結果に落ち着き、主だった波乱など無く終了しています。
国内金価格に関しては、堅調なドル建て金価格と円安方向で推移する円相場を受けて、週間では全営業日で上昇しました。13,000円台を回復していることから、国内金価格のもう一段の上昇にも期待が持てますが、当面は為替レート次第といった展開が見込まれます。
2024年9月・第4週(9/23〜9/27)
2024年9月23日〜9月27日週のNY金相場は、2668.1ドル(前週終値比0.8%上昇)で週間の取引を終了しました。連日過去最高値の更新を続け、3週連続の上昇となっています。
青天井相場でも上昇の勢いは衰えることなく、26日(木)の取引時間中には史上初の2,700ドルを突破しました。昨年末終値の2071.8ドルから現時点で600ドル超の値上がり幅。ドル建て金価格のここまでの年間上昇率は28.8%に達しています。年間上昇幅で見ると過去最大を記録し、米利下げを追い風に金は幅広く買いを集める展開です。
28日(土)には、イスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ最高指導者、ハッサン・ナスララ師を殺害したと伝えられました。中東情勢の緊迫感の高まりからも、安全資産として金が選好されやすくなっています。
株式市場ではNYダウ平均株価とS&P500指数が前週に続いて、今週も過去最高値を更新する場面がありました。好調なダウ平均株価ですが年間上昇率は12.3%に留まり、ドル建て金価格の上昇率(28.8%)が際立っています。
外国為替市場では、米利下げ開始による日米の金利差縮小の流れから、円高ドル安方向に進みやすい相場地合いでありつつも、週末にかけて円売りドル買いが強まりました。
27日(金)には国内で自民党総裁選挙が実施され、1回目投票で高市氏が1位通過したことで、金融緩和の長期化期待によってドル円は一時146円台中盤をつけました。すんなり高市氏に決まるかと思われたものの、その後の決選投票の結果を受けて市場の雰囲気が一変。総裁選の決選投票は高市氏vs石破氏となり、金融所得課税強化や法人税引き上げなどを掲げる石破氏が新総裁に選出され、ドル円は4円近く変動し142円台後半にまで円高ドル安が急加速。同時に日経225先物も急落し、週末時点では前日比2,400円を超える大幅下落となっています。
外国為替市場と国内の株式市場は「石破ショック」の様相を呈しており、週明け9月30日(月)の国内株式市場は、先物主導で大荒れ相場が見込まれます。国内金価格はドル建て金価格の最高値更新と円安の後押しによって、9月12日(木)以降10営業日連続して前日比プラスを続けてきました。一旦下落局面を迎えますが、7月17日(水)の過去最高値13,743円に迫る勢いです。
【2024年9月】金相場価格マンスリーコメント
2024年9月のNY金相場は2536.0ドルでスタートし、2659.4ドルで月間の取引を終了しました。9月の月間上昇率は4.9%と3ヶ月連続で上昇し、9月12日(木)から9月26日(木)まではほぼ連日で過去最高値を更新する展開となりました。青天井相場の様相を呈し、9月後半には6営業日連続で上昇する場面もありました。9月26日(木)の取引時間中には史上初の2,700ドルを突破するなど、昨年末終値の2071.8ドルから9月末時点の値上がり幅は587.6ドルとなり、ドル建て金価格の年間上昇率は28.4%に達しています。9月17日(火)〜18日(水)の米FOMCでは、2020年3月以来4年半ぶりとなる政策金利の0.50%引き下げを決定。米利下げを追い風に幅広く買いを集め、金相場のここまでの年間上昇幅は過去最大を記録しています。米国の株式市場においても、9月にはNYダウ平均株価とS&P500指数が過去最高値を更新。年間上昇率で比較すると、金相場がダウ平均株価を大きく上回っている状況です。国内では、9月27日(金)に自民党総裁選挙が実施されました。金融所得課税強化や法人税引き上げなどを掲げる石破氏が新総裁に選出され、ドル円は4円幅で円高が進み日経平均株価は2,000円超の値下がりとなる一時的な乱高下場面がありました。9月の金相場価格、為替市場、株式市場に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。9月6日(金)に発表された米雇用統計が市場予想を下回り、米国経済の景気減速懸念から投資家のリスク回避姿勢が強まり金相場は売り優勢の展開に。雇用統計後の円相場は円高ドル安に振れ、ドル円は8月5日(月)以来となる一時141円台後半をつける場面がありました。9月12日(木)は欧州中央銀行(ECB)が理事会で、2024年6月以来となる0.25%追加利下げを決定しました。28日(土)には、イスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ最高指導者、ハッサン・ナスララ師を殺害したと伝えられました。中東情勢の緊迫化を受けた地政学リスクの高まりからも、安全資産として金が選好されやすくなっています。国内金価格は堅調なドル建て金価格とドル円の円安進行を受けて、9月27日(金)にはこれまでの過去最高値の更新まであと130円と迫る場面がありました。国内金価格の最高値更新が待たれます。
提供している金相場価格の専門家コメントは、バリュエンスジャパン株式会社(東証グロース上場、証券コード:9270)が運営している、ブランド品・貴金属・骨董品等の買取及び販売を全国展開する「なんぼや」公式ホームページに掲載されています。
【監修者情報】
水野崇(みずのたかし)
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