毎週末は、ドル円・株式市場を含めた金相場価格のウィークリーコメントを。
月末には、マンスリーコメントを提供。
下記に、「2024年12月」のマーケットコメント(週間、月間、年間)をまとめました。
【2024年12月】金相場価格ウィークリーコメント(全4週)
2024年12月・第1週(12/2〜12/6)
2024年12月2日〜12月6日週のNY金相場は、2659.6ドル(前週終値比:0.8%下落)で週間の取引を終え、2週連続の下落となりました。
11月25日(月)の大幅下落で短期的な二番天井を形成したドル建て金価格ですが、11月26日(火)以降は限定的な値幅内で小動きが続き、12月に入ってからも積極的に上値を追う動きは見られません。
この週にマーケットに影響を与えた要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
12月2日(月)に発表されたISM製造業景況指数は市場予想を上回り、米国経済の好調さが示されたことで金相場は売り優勢となりました。ウォラーFRB理事から12月の米FOMCでは利下げを支持するとの発言が伝えられたことで、外国為替市場ではドル売りが進んでいます。
3日(火)は、尹韓国大統領による非常戒厳令の宣布を受けてリスク回避の動きが強まり、安全資産への資金シフトから金相場は買い優勢で推移しました。
非常戒厳令は4日(水)未明に解除されましたが、ドル円は円買いドル売りで反応し148円台中盤をつけた後、韓国の政情不安で日銀が12月利上げを見送るのではといった思惑から円売りに転じ、ドル円は151円台にまで一時的に円安が進行しました。
5日(木)にはパウエルFRB議長が利下げに慎重姿勢を示したことが伝えられ金は売られました。
6日(金)は、市場予想通りの米雇用統計を受けてFRBの追加利下げ期待から外国為替市場でドル売りが再開。週末時点のドル円は、1ドル=149円台中盤の水準で推移しています。
重要イベントである12月17日(火)~18日(水)の米FOMCを控え、マーケットでは0.25%の追加利下げを織り込む動きが見られますが、国内でも12月18日(水)~19日(木)に日銀金融政策決定会合が開催され、0.25%の追加利上げ観測が高まっています。
国内金価格は11月26日(火)から12月4日(水)まで、7営業日連続して値下がりとなりました。日米の金利差縮小見通しから円が買われやすく、重要イベントを前にした円高要因で国内金価格の大幅上昇には期待しづらい状況です。
2024年12月・第2週(12/9〜12/13)
2024年12月9日〜12月13日週のNY金相場は、2675.8ドル(前週終値比:0.6%上昇)で週間の取引を終えました。
3週間ぶりの上昇週です。ドル建て金価格は週初から値幅を伴った上昇が続き、11日(水)には2759.7ドルの高値をつけました。しかしながら、週末にかけては利益確定の売りに押され、上げ幅を徐々に縮小する展開となっています。
ここもとの金相場は、レンジ相場内の推移が続き、上下いずれにも方向感が出づらい状況です。
この週にマーケットに影響を与えた要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
9日(月)は前週末の米雇用統計を受けて、FRBの利下げ期待が高まり金相場は買い優勢となりました。
10日(火)にはイスラエルがシリア各地で空爆を実施したことが伝えられると、マーケットでは地政学的リスクが意識され大幅に続伸。中国が金融緩和を拡充するとの期待感も買い材料視されています。
11日(水)はインフレ指標である米消費者物価指数(CPI)が発表され、事前予想通りの結果であったことから、市場では12月の米FOMCでの追加利下げを確実視。また、ロシアがウクライナに新型弾道ミサイルを発射する可能性が伝えられたことで、安全資産への投資資金シフトの動きで金は堅調な展開でした。
12日(木)には、CPIと同様インフレ指標として重視される、米生産者物価指数(PPI)が発表されました。PPIは市場予想を上回り、依然としてインフレ懸念が示されたことで、金相場の下落要因になっています。
13日(金)は主だった材料がないものの、欧米市場のクリスマス休暇や年末を控えた利益確定売りで続落しました。
12月16日〜12月20日週では、17日(火)~18日(水)に開催される米FOMCが最注目イベントになります。FRBは0.25%の追加利下げが予想され、金利のつかない資産の金にとっては、実需買いが入りやすい相場地合いです。外国為替市場ではドルが買われ、円相場はやや円安方向で推移しました。
国内金価格は円安要因で底堅さが見られ、14,000円台での推移が続いています。
2024年12月・第3週(12/16〜12/20)
2024年12月16日〜12月20日週のNY金相場は、2645.1ドル(前週終値比:1.1%下落)で週間の取引を終了しました。
ドル建て金価格は前週後半からの下落の流れを引き継ぎ、16日(木)まで6営業日連続で値下がり。17日(金)は大幅な値上がりに転じたことで、週間の下落幅は縮小しています。
12月16日週は市場で注目を集めていた日米の金融会合が開催され、共に事前予想通りの結果であったことから主だったサプライズはなく、無難に通過しています。
ドル建て金価格をテクニカルで見ると、10月30日(水)に過去最高値をつけた後、12月11日(水)高値は前回高値を下回り、右肩下がりのレジスタンスラインで目先の二番天井を確認。一方の下値については、11月14日(木)の安値から12月19日(木)の安値がサポートライン。日足チャート上では、レジスタンスラインとサポートラインに挟まれ三角保ち合いを形成し、上下の値幅が限定されていることからレンジ相場が見て取れます。
この週にマーケットに影響を与えた要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
16日(月)、17日(火)は米FOMCの結果待ちで投資家の様子見姿勢が強まり、ドル建て金価格は買いが手控えられ続落となりました。
18日(水)の米FOMCでは、FRBが0.25%の追加利下げを決定しました。FRBの3会合連続利下げによって、利下げ幅の合計は1%に達しています。FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、「今後は利下げペースを緩めるのが適切」と発言し、2025年の利下げペースが鈍化見通しであることが示されました。パウエルFRB議長の追加利下げ慎重発言を受けて、株式市場ではNYダウ平均株価が大幅下落し、およそ50年ぶりに10営業日連続の値下がりとなっています。
19日(木)は国内で金融政策決定会合が開催され、日銀が政策金利の現状維持を決定しました。13日(金)にはすでに利上げ見送り方針であることが伝えられていたため、市場では想定通りの結果として受け止められています。
決定会合後の会見で、植田日銀総裁から利上げを急がない姿勢が示され、外国為替市場では円売りドル買いが急速に進みました。ドル円は一時1ドル=157円台後半をつける場面がありましたが、20日(金)にはスピード調整で円安進行は一休み。
国内金価格は円安局面では上昇要因となりますが、円高進行時は上値重く推移するため、値幅の狭い14,000円台での推移です。
2024年12月・第4週(12/23〜12/27)
2024年12月23日〜12月27日週のNY金相場は、2,631.9ドルで週間の取引を終了しました。
クリスマス週であったことで欧米市場の取引参加者が減少し、マーケットではポジション調整が中心の小動き推移となった1週間です。ドル建て金価格の11月以降はレンジ相場が続き、上値の目処としては直近高値の2,760ドル近辺が、下値の目処では2,600ドル近辺が意識され、ここもとの上下の値幅は限定されています。
NYダウ平均株価は4週連続で値下がりし、43,083.6ドルで週間の取引を終了しました。12月上旬までは株式市場への資金流入が続き、連日のように過去最高値を更新してきましたが、12月4日(水)の終値45,024.2ドルが今年つけた最高値となり、12月以降は利益確定の売りに押される展開です。
同じく、堅調な展開で過去最高値を更新し続けたナスダック指数は、12月16日(月)の終値が、S&P500指数に関しては12月6日(金)の終値が今年の最高値となりました。
外国為替市場では、12月以降はドルが買われ円が売られる状況。ドル円の27日(金)の終値は157円台後半に位置し、1ドル=160円が再び視野に入る水準です。ドル円は7月1日(月)に162円直前まで歴史的円安が進みましたが、その後は円安進行に落ち着きが見られ9月16日(月)に140円台を下回るも、足元では円安の流れが再び強まっています。
円安が進む背景には日米の金利差が意識されていることが挙げられます。2025年は米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げペースを鈍化見通しであり、さらには日銀も利上げを急がないスタンスを示していることから、日米の金利差縮小には時間がかかることが想定されます。
また、2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足します。前回のトランプ政権時と同様、2025年の世界マーケットはトランプ次期大統領の発言や政策動向に関心が集まることになりそうです。
国内金価格はドル円の影響を受けることから、円安進行は価格上昇要因となります。ドル建て金価格と同様に11月以降はレンジ相場で方向感のない推移が続いていますが、2024年の国内金価格は14,000円を超えて過去最高値を更新し、歴史的な上昇を遂げました。年間では約40%という驚異的な上昇率を記録するなど、金の存在感は一層高まっています。
【2024年12月】金相場価格マンスリーコメント
2024年12月のNY金相場は2,673.8ドルでスタートし、月間の取引は2,641.0ドルで終了しました。11月に続いて12月も値下がりし月間下落率は1.2%です。12月は年内最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合に市場の関心が集まりました。18日(水)にFRBが事前予想通り0.25%の追加利下げを決定したものの、パウエルFRB議長からは利下げペースを緩めるのが適切との発言が伝えられ、2025年のFRBの追加利下げは年2回前後に減少見込みです。翌日19日(木)には日銀が決定会合で利上げ見送りを決めました。事前に見送り報道が先行していたため、織り込み済みの結果として受け止められています。12 月の金相場に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。3日(火)に尹韓国大統領が一切の政治活動を禁じる「非常戒厳」を宣布したことで、マーケットでリスク回避の動きが強まり、金相場は安全資産への資金シフトから買い優勢となりました。4日(水)に韓国の非常戒厳宣布は解除されましたが、日銀の利上げ見送りで日米金利差の縮小幅が減少することに伴い円売りが進んでいます。6日(金)は米雇用統計が発表され、事前予想通りであったことでFRBの追加利下げへの期待感が高まりました。11日(水)の米消費者物価指数(CPI)も予想通りで、市場では12月米FOMCでの0.25%利下げを確実視。米FOMCを控えたタイミングでは警戒感から株式市場を中心に資金流出の動きが見られ、18日(水)まで10営業日連続でNYダウ平均株価が値下がりしました。NYダウ平均株価は50年ぶりに連続下落記録を更新しています。国内金価格は12月4日(火)までは円高進行に伴い、7営業日連続で値下がりしました。その後は一転してドル円が円安方向にシフトし、国内金価格も大きく上昇する日が目立ちます。2024年の国内金価格は歴史的な上昇を遂げた一年となり、過去最高値を更新しながら約40%という驚異的な年間上昇率を記録しました。2025年1月20日に第2次トランプ政権がスタートしますが、金相場を含めさまざまなマーケットにも影響は必至です。今後はトランプ政権の政策動向によって、大きく変動する場面が想定されます。
【2024年】金相場価格・年間コメント
2024年の金相場は、歴史的な上昇を見せた一年となりました。ドル建て金価格は年初から一貫して上昇を続け、10月30日(水)に2,800ドルを突破し過去最高値を更新。2024年12月末時点では最高値よりもやや値を下げ、2641.0ドルで年間の取引を終了しています。2023年12月末は2,071.8ドルでしたので、2024年の年間上昇率は27.5%でした。国内金価格は10月31日(木)に過去最高値となる15,025円を付けました。2024年12月末時点の価格は14,472円となり、2023年12月末の10,366円との比較で、年間上昇率は実に39.6%に達しています。国内金価格は、ドル建て金価格に加えドル円の影響を受けて価格が形成されます。上昇率がドル建て金価格を上回った背景としては、外国為替市場での円安進行が挙げられます。ドル円は、2023年12月末の141円近辺から2024年12月末は157円近辺へと、円安基調を続けてきました。結果として、2024年の国内金価格は約40%近い上昇率を記録するなど際立った上昇を遂げています。「金」は実物資産として煌びやかな輝きを放っていますが、資産運用のアロケーション先としても存在感があり、株式や債券といった伝統的な金融資産と相関が低く、金融危機や世界経済の混乱期にも強いといった側面を持ちます。そのため、金相場は歴史的に見ても長期の上昇トレンドを継続し、安全資産として資産の一部を金で保有することはリスク分散の観点からも有用です。2024年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備理事会(FRB)が0.25%の追加利下げを決定しました。3会合連続の利下げによって2024年の利下げ幅は1%に達しましたが、2025年はペースを鈍化させ、FRBは年2回の利下げ見通しと予測されています。対して、日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、10年以上続いた大規模金融緩和に終止符を打ちました。2024年7月には政策金利の引き上げを決め、2025年は追加利上げ時期が焦点となるでしょう。植田日銀総裁は利上げを急がないスタンスを示していることから、日米の金利差縮小には時間がかかることが想定されます。日米の金融政策の行方から円が売られやすい環境にあり、2024年末時点で157円台に位置しているドル円は、2025年早々にも2024年7月以来となる160円台乗せの可能性も高まっています。これ以上の円安進行は為替介入が警戒されますが、外国為替市場の動向は国内金価格にも影響を及ぼすため、引き続き注目です。2025年1月20日に第2次トランプ政権がスタートします。金相場を含め、さまざまなマーケットにも影響は必至ですので、2025年の世界経済はトランプ政権の政策動向に大きく左右されることになるでしょう。
提供している金相場価格の専門家コメントは、バリュエンスジャパン株式会社(東証グロース上場、証券コード:9270)が運営している、ブランド品・貴金属・骨董品等の買取及び販売を全国展開する「なんぼや」公式ホームページに掲載されています。
【監修者情報】
水野崇(みずのたかし)
金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。