毎週末は、ドル円・株式市場を含めた金相場価格のウィークリーコメントを。
月末には、マンスリーコメントを提供。
下記に、「2025年1月」のマーケットコメント(週間、月間)をまとめました。
【2025年1月】金相場価格ウィークリーコメント(全4週)
2025年1月・第1週(1/6〜1/10)
2025年1月6日〜1月10日週のNY金相場は、2,652.8ドルでスタートし、2,715.0ドル(前週終値比:2.3%上昇)で週間の取引を終了しました。
2025年最初の週のドル建て金価格は底堅く、堅調な展開となりました。1月20日(月)に米国で第2次トランプ政権が発足します。トランプ氏の発言は世界経済への影響も大きく、トランプ・リスクが意識される場面では大きく乱高下することも予想されます。
この週にマーケットに影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
6日(月)は、トランプ新政権の関税政策次第によって、FRBの追加利下げ見送りとなる可能性が浮上し、ドル建て金価格は下落。
7日(火)は米ISM非製造業景気指数が発表され、予想を上回ったことでドル買い要因に。ドル円は一時1ドル=158円台中盤をつけるなど円安ドル高が進行しました。ドル円は160円台乗せも意識される水準ですが、政府・日銀による為替介入への警戒感も高まっています。
8日(水)は、トランプ次期米大統領が新たな関税政策について緊急宣言を検討していると伝わり、金相場は買いが優勢となりました。
9日(木)は翌日に米雇用統計の発表を控え、全般的に小動きの中でも金相場は底堅い展開。
10日(金)は米雇用統計が発表され、事前予想より強い結果であったことでFRBの追加利下げ期待が後退。金相場のネガティブ材料として一時的に売られる場面があったものの、トランプ政権の警戒感から、ドル建て金価格はリスクヘッジ目的で次第に上げ幅を広げる展開となりました。
最大年2回を見込むFRBの追加利下げは、年1回もしくは据え置きに減少されるとの見方が台頭しています。2025年はトランプ次期政権の政策動向によって、様々な形でマーケットは影響を受けることになるでしょう。ただし、警戒感が高まる局面ほど安全資産として金は買われやすく底堅い展開も予想され、さらなる上昇への期待感は高まっています。
国内金価格は安全資産への買い需要と円安要因で堅調に推移し、10日(金)の価格は14,823円をつけました。2024年10月31日(木)の過去最高値15,025円超えが視野に入ります。
2025年1月・第2週(1/13〜1/17)
2025年1月13日〜1月17日週のNY金相場は、2,748.7ドル(前週終値比:1.2%上昇)で週間の取引を終了しました。
ドル建て金価格は、週初の13日(月)に大幅下落する場面があったものの、その後は底堅く推移し前週に続いて堅調な展開です。上昇の背景には、米生産者物価指数(PPI)や米消費者物価指数(CPI)の結果を受けて、インフレ再燃に対する過度な警戒感が和らいだことが挙げられます。
この週にマーケットに影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
13日(月)は前週末に発表された米雇用統計が事前予想より強く、FRBの追加利下げ期待が後退。最大年2回を見込んでいた利下げ回数は、年1回もしくは据え置きに減少されるとの見方が台頭し、金相場の上値を抑える要因となっています。
14日(火)には米生産者物価指数(PPI)が発表され、予想を下回ったことで金相場は買い優勢となりました。氷見野日銀副総裁が講演の中で、23日(木)〜24日(金)の金融政策決定会合では追加利上げについて議論すると発言し、日銀の利上げ観測の高まりから外国為替市場で円買いが優勢となっています。
15日(水)は注目を集めていた米消費者物価指数(CPI)が発表され、コア指数が予想を下回ったことをマーケットは好感。米経済指標を受けてインフレ再燃への警戒感が低下し、FRBの追加利下げは再び年2回の可能性も浮上しています。また、この日はイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意が発表されました。
16日(木)には、ウォーラーFRB理事から3月利下げに前向きな発言が伝わったことが好感され、金相場は上値を伸ばす展開となりました。
17日(金)は20日(月)のトランプ大統領就任式を控え、金相場は利食い売り先行で値下がりしています。
23日(木)〜24日(金)に開催される日銀金融政策決定会合では、日銀の追加利上げ観測が高まっており、外国為替市場でドル円が一時154円台後半をつけるなど円買いの動きが見られました。
国内金価格は15日(水)に14,831円をつけ、2024年10月31日(木)の過去最高値15,025円に迫っています。最高値更新への期待感が高まりますが、ドル円の円安進行が一服したことで、国内金価格の上値もやや重い展開が見込まれます。
2025年1月・第3週(1/20〜1/24)
2025年1月20日〜1月24日週のNY金相場は、2,778.9ドル(前週終値比:1.1%上昇)で週間の取引を終了しました。
これで4週連続の上昇となり、ドル建て金価格は引き続き堅調さを保ちながら、力強い上昇相場の様相です。2024年10月30日(水)につけた最高値2,800.8ドルの更新まで、あと22ドルにまで接近。週明け早々にも過去最高値を更新する勢いです。
1月20日(月)にトランプ第2次政権がスタートしました。第1次政権時と同様、関税引き上げなどアメリカ・ファーストの政策方針を示しているトランプ氏の発言内容について、これまで以上に市場の関心が高まっています。
この週にマーケットに影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
20日(月)はトランプ氏が米大統領に就任しました。就任式前は、関税引き上げ強化に対し警戒感が高まっていたものの、就任演説の中でトランプ米大統領は関税についてほとんど言及せずに終了。これを受けて、外国為替市場ではドル売りが強まる場面がありました。
21日(火)は主だった材料がない中で、ドル建て金価格は堅調に推移。
22日(水)は、トランプ氏がメキシコとカナダに25%の関税をかけると発言し、中国に対しては10%の追加関税を示唆するなど、世界的な関税戦争の懸念が広がり金相場の買い材料となりました。
23日(木)はスイスでダボス会議が開催されトランプ氏の強行発言もなく、市場の安心感から金相場は小幅な下落に。
24日(金)は中国に対するトランプ氏の関税回避発言が伝わり、外国為替市場でドル売りが優勢となったことを受けて金相場は買いで反応しました。また、この日は日銀が金融政策決定会合を開催し、2024年7月以来となる0.25%の追加利上げを決定しました。日本の政策金利は2008年10月以来、約17年ぶりに0.5%の水準です。決定会合後の会見で、植田日銀総裁は今後も政策金利の引き上げを継続する意向を示しています。
国内金価格はドル建て金価格の堅調地合いを追い風に、2024年10月31日(木)の最高値15,025円を超え、23日(木)に15,113円の過去最高値を更新しました。ドル円は154〜156円台の小幅な推移が続いていることから、国内金価格は今後も高値更新を続ける可能性が高いでしょう。
2025年1月・第4週(1/27〜1/31)
2025年1月27日〜1月31日週のNY金相場は、2,835.0ドル(前週終値比:2.0%上昇)で週間の取引を終了しました。
足元では堅調な相場地合いが続いており、ドル建て金価格は5週連続で上昇。1月30日(木)には2024年10月30日(水)以来、約3ヶ月ぶりに過去最高値を更新しています。
米連邦準備理事会(FRB)は28日(火)〜29日(水)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定。次の利下げは早くても6月が有力視されています。
この週にマーケットに影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。
27日(月)はトランプ米大統領が進める不法移民の摘発と強制送還で、コロンビアは移民を乗せた軍用機の着陸を拒否。トランプ氏はコロンビアに対し25%の関税を課し、1週間以内には50%に引き上げる報復措置を指示しました。これを受けてコロンビア側も25%の追加関税をかけると表明し、関税戦争が懸念され金相場は売りの勢いが強まりました。コロンビアが不法移民の送還受け入れに同意したことで、追加関税は撤回されています。
28日(火)には、トランプ米大統領が外国製半導体チップ、鉄鋼、医薬品などに近く関税を適用する方針を示し、この発言を受けて金相場は買い優勢となりました。
29日(水)は米FOMCが開催され、事前予想通り政策金利の据え置きが決まりました。パウエルFRB議長は「利下げを急ぐ必要はない」と発言し、3月の追加利下げ期待の後退観測から金相場は売りで反応しています。
30日(木)は欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しを受けて、ドル建て金価格は大幅上昇し過去最高値を更新。
31日(金)のドル建て金価格も、取引時間中には連日で過去最高値を更新する場面がありました。その後は高値警戒感が意識され、下落に転じて前日比マイナスで終了しています。
トランプ政権は2月4日(火)からメキシコ、カナダへの25%関税と中国への10%の追加関税をスタート。トランプ氏による関税政策で米国のインフレ加速懸念が一段と高まっており、政権への警戒感は金相場にとって買い材料です。
国内金価格は過去最高値を更新した後も上昇トレンドを継続、もう一段の上昇への期待感が高まります。
【2025年1月】金相場価格マンスリーコメント
2025年1月のNY金相場は2,641.0ドルでスタートし、2,835.0ドルで月間の取引を終了しました。1月は全週で値上がりとなり、月間上昇率は7.3%に達しています。1月20日(月)に米国でトランプ大統領の就任式が行われました。トランプ氏は関税についてほとんど言及せずに就任演説を終了したことで、1月の最注目イベントは波乱なく通過しています。1月は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合に関心が集まりました。24日(金)の金融政策決定会合で、日銀は2024年7月以来となる0.25%の追加利上げを決定。これにより、日本の政策金利は2008年10月以来、約17年ぶりに0.5%の水準です。決定会合後の会見で、植田日銀総裁は今後も政策金利の引き上げを継続する意向を示しています。29日(水)に開催された米FOMCでは、米連邦準備理事会(FRB)は3会合連続となる政策金利の据え置きを決めました。FOMC後の会見でパウエルFRB議長は「利下げを急ぐ必要はない」と発言し、3月の追加利下げ期待は後退。次の利下げは早くても6月との見方が市場で広がっています。ドル建て金価格は底堅さを維持しながら、30日(木)に過去最高値を更新しました。トランプ氏の政策への警戒感が買い材料となり、世界中の投資家からの安全資産への高いニーズが金相場を下支えしています。外国為替市場は月間で小動きとなり、日米の金利差縮小見通しからドル円の円安推移には一服感が見られます。ドル円は依然として1ドル=155円前後に位置しており、歴史的な円安水準には変わりません。トランプ米政権は2月4日(火)からメキシコ、カナダへの25%関税と中国への10%の追加関税をスタート。今後も貿易相手国に対して、鉄鋼、アルミニウム、石油・ガス、医薬品、半導体など幅広い輸入品に関税を課すことを表明しており、トランプ氏による関税政策で米国のインフレが加速することへの懸念が高まっています。国内金価格はドル建て金価格の堅調地合いを追い風に、1月23日(木)に約3ヶ月ぶりに過去最高値を更新しました。月末31日(金)は15,133円で最高値を更に更新しており、今後も高値更新を続ける可能性が高いでしょう。
提供している金相場価格の専門家コメントは、バリュエンスジャパン株式会社(東証グロース上場、証券コード:9270)が運営している、ブランド品・貴金属・骨董品等の買取及び販売を全国展開する「なんぼや」公式ホームページに掲載されています。
【監修者情報】
水野崇(みずのたかし)
金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。