〒160-0022 東京都新宿区新宿1-36-2 新宿第七葉山ビル3F|【TEL】050-3746-3537

<2025年3月>金相場価格マーケットコメント(週間、月間)

金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。

毎週末は、ドル円・株式市場を含めた金相場価格のウィークリーコメントを。
月末には、マンスリーコメントを提供。

下記に、「2025年3月」のマーケットコメント(週間、月間)をまとめました。

【2025年3月】金相場価格ウィークリーコメント(全4週)

2025年3月・第1週(3/3〜3/7

2025年3月3日〜3月7日週のNY金相場は、2,914.1ドル(前週終値比:1.5%上昇)で週間の取引を終了しました。

ドル建て金価格は、最高値更新を続けていた2月中旬までの勢いはなく、上下に値幅が限定されるレンジ相場の様相です。

この週に、金相場に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。

3日(月)は、ベッセント米財務長官が4月2日(水)に大規模な関税計画を示すと明らかにし、トランプ米大統領も日本に対して円安誘導と批判して追加関税を示唆。トランプ米大統領の発言と相互関税政策によって不透明感が高まり、安全資産への資金シフトの動きが見られ、金相場は大幅上昇となりました。

4日(火)はトランプ米政権がメキシコとカナダへ25%関税、中国への関税率10%上乗せ(2月4日から10%実施済みで合計20%)を発動。これを受けて中国、カナダが米国に対する報復措置を示唆。中国は米国からの一部の輸入品に最大15%の追加関税、カナダは米国への25%関税を課すといった対抗姿勢で貿易戦争に発展しています。

5日(水)に発表された米ISM非製造業総合指数の結果が予想よりも強く、インフレ高止まりへの懸念が高まり金相場は買い優勢となりました。

6日(木)は欧州中央銀行(ECB)が理事会で5会合連続の利下げを決定。政策金利の引き下げは2024年6月に開始されましたが、トランプ米大統領が欧州連合(EU)にも追加関税を課す考えを示し、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で次回以降の利下げ中断の可能性に言及。ドル建て金価格は4営業日続伸しています。

7日(金)は米雇用統計が発表され、予想を下回った結果にマーケットで失望感が広がった模様。

パウエルFRB議長は「政策金利の変更を急ぐ必要はない」と発言し、米国景気への先行きに対する過度な警戒感は薄れ、安全資産としての金は利益確定の売りで値下がりに転じています。トランプ米大統領の発言や関税政策で値幅を伴う相場地合いですので、金相場の下値は底堅いものの方向感を徐々に失いつつあり、当面はレンジ相場内での推移が想定されます。

2025年3月・第2週(3/10〜3/14

2025年3月10日〜3月14日週のNY金相場は、終値で初めて3,000ドルを超え、3,001.1ドル(前週終値比:3.0%上昇)で過去最高値を更新して週間の取引を終了しました。

前週とは値動きが一転、11日(火)から週末にかけ4営業日連続で値上がりし、週間でも大きく上昇しました。

この週に、金相場に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。

10日(月)は、中国が米国からの大豆やトウモロコシなどの輸入品に対して最大15%の追加関税を発動。米国が中国への追加関税を20%に引き上げたことへの報復措置として実施され、米国と中国との関税戦争は激化しています。これを受けてマーケット全般でリスク回避の動きが加速し、金相場は下落しました。

11日(火)は、トランプ米大統領がカナダからの鉄鋼とアルミニウムなどの輸入品に対し、追加関税を課すよう指示したことが伝えられ、ドル建て金価格は反発となりました。その後、トランプ氏はカナダへの25%追加関税を即日撤回しています。

12日(水)にはカナダと欧州連合(EU)がそれぞれ米国に対する報復関税を発表、ドル建て金価格は続伸となりました。カナダは3月13日(木)から、EUは4月1日(火)と4月中旬の2段階で、追加関税を発動予定。

13日(木)は、トランプ米大統領が欧州連合(EU)産のワインなどに200%の関税を課す意向を示し、米国と各国との間で激化している貿易摩擦がさらに悪化することで、景気の先行き懸念からドル建て金価格は大幅続伸となりました。この日の上昇で、2月下旬につけたこれまでの最高値を更新しています。

14日(金)は、ドル建て金価格が史上初めて3,000ドル台に乗せ、連日で過去最高値を更新。トランプ米政権の相互関税政策への対抗措置は各国に広がっており、関税の応酬によって米国を含め世界経済に悪影響を及ぼすリスクが懸念され、安全資産とされる金に資金を避難させる動きが目立ちます。

18日(火)〜19日(水)は、日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が同日開催されます。日銀会合では利上げ見送りが濃厚、米FOMCでは利下げ見送りが市場予想です。重要イベント通過後のマーケット動向が注目されますが、国内金価格はドル建て金価格の堅調地合いを背景に、もう一段の価格上昇が期待できます。

2025年3月・第3週(3/17〜3/21

2025年3月17日〜3月21日週のNY金相場は、3,021.4ドル(前週終値比:0.7%上昇)で週間の取引を終了し、前週に続いて過去最高値を更新しました。

8営業日連続で前日比プラスを続け、堅調地合いを保ちながら最高値圏で推移しています。

この週に、金相場に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。

15日(土)にトランプ米大統領がイエメンの親イラン武装組織フーシへの空爆を指示し、現政権における中東での最大の軍事作戦を実行。攻撃は数週間続く可能性が伝えられており、

17日(月)の金相場は地政学リスクの高まりが意識され、安全資産買いで堅調に推移。3営業日連続で過去最高値を更新しました。

18日(火)〜19日(水)は、日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が同日開催されました。日銀、米連邦準備制度理事会(FRB)ともに、市場予想通りの政策金利据え置きを決定。米FOMC後のパウエルFRB議長会見では、「経済見通しをめぐる不確実性が異常なほど高まっている」と述べ、トランプ米政権の関税政策が実体経済にも影響を及ぼすことで、今後のインフレ見通しを引き上げています。今回のFOMCを受けて市場では、FRBによる2025年の利下げ回数として年2回を想定。

20日(木)は、日米ともに重要イベント通過したことで、外国為替市場では円買いドル売りで反応。ドル円は、一時1ドル=148円台前半をつける場面がありました。21日(金)は、イスラエルのカッツ国防省がイスラム組織ハマスに対し、人質解放を拒否するならパレスチナ自治区ガザ地区の一部をイスラエルに併合すると主張。「ハマスが人質解放を拒むほど多くの領土が失われ、イスラエルに併合されることになる」と述べています。

今後も地政学的リスクが意識される局面では、安全資産として金需要が高まる展開が予想されます。国内金価格は、週間では全営業日で値上がりし、19日(水)には買取価格で15,889円をつけ過去最高値を更新しました。祝日明けの21日(金)も過去最高値を更新し、店頭小売価格で史上初となる16,000円突破が大きなニュースとなっています。

2025年3月・第4週(3/21〜3/28

2025年3月24日〜3月28日週のNY金相場は、3,114.3ドル(前週終値比:3.1%上昇)で週間の取引を終了、3週連続で過去最高値を更新しました。

地政学的リスクの高まりやトランプ米政権の相互関税政策など、豊富な買い材料で金相場は堅調地合いを続けています。

この週に、金相場に影響を与えた主な要因について、時系列に沿って確認してみましょう。

24日(月)は、トランプ米大統領がベネズエラ産原油の輸入国に対し、25%の追加関税を課すことを表明。米国とベネズエラの間では移民送還を巡って緊張関係が続いており、米国は高関税政策の発動によって政治的な圧力をかけています。

25日(火)は、中東情勢の地政学的リスクが意識され金相場は反発。

26日(水)にはトランプ米大統領が全ての国から輸入する自動車に対して、現在の2.5%から大幅に引き上げ、25%の関税をかけることを正式表明しました。対象国には日本も含まれており、日本の自動車メーカーにとって最大の輸出先である米国の関税引き上げで、国内企業の業績悪影響が懸念されています。関税の影響は米国でも懸念され、複数の米地区連銀総裁からは景気先行き不透明感によるFRB追加利下げ見送りの可能性といった発言が相次ぎました。

27日(木)はトランプ氏の自動車関税を受けて、カナダや欧州連合(EU)加盟各国が報復関税を示唆。世界的に貿易摩擦が激化する様相を呈しており、金相場は上げ幅を広げる展開で、ドル建て金価格、国内金価格ともに過去最高値を更新しました。

28日(金)も、ドル建て金価格、国内金価格は揃って大幅上昇し、連日で過去最高値を更新。またこの日は、イスラエル軍がレバノンの首都ベイルート南部で空爆を実施。これを受けて、市場では地政学的リスクが意識され、安全資産への資金シフトの動きも見られます。反対に、日米の株式市場にとって米国の自動車25%関税は悪材料視され、やや大きめの下落幅で週末の取引を終了しました。

足元の金相場は買いを集めやすい状況にあることから、国内金価格は27日(木)、28日(金)と連日で過去最高値を更新。16,000円を超え、今後の推移も期待されます。

【2025年3月】金相場価格マンスリーコメント

2025年3月のNY金相場は月間ベースで過去最高値を更新しました。3月は全週で値上がりとなり、月間上昇率は10.0%に達しています。ドル建て金価格は2,872.0ドルでスタートし、3,150.3ドルで月間の取引を終了。トランプ米大統領が相互関税政策の適用範囲を拡大しており、相手国も報復関税を示唆する状況で、世界的な貿易摩擦が激化。中東情勢の地政学的リスクとともに貿易戦争の拡大によって、金相場は買われやすい地合いが続いています。3月のトランプ米政権の高関税政策と相手国の対抗措置を中心に、時系列に沿って確認してみましょう。4日(火)は、トランプ米大統領がメキシコとカナダへ25%関税、中国への関税率10%上乗せ(合計20%)を発動。これを受けて、中国は米国からの一部の輸入品に最大15%の追加関税、カナダは米国へ25%関税を課すといった報復措置を表明しています。10日(月)は、中国が米国からの大豆やトウモロコシなどの輸入品に対し、報復措置として最大15%の追加関税を発動。12日(水)は、カナダと欧州連合(EU)がそれぞれ米国に対する追加関税を発表しました。これを受けて、トランプ米大統領は13日(木)、EU産のワインなどに200%の関税を課す意向を示し、関係国の貿易摩擦のさらなる悪化が懸念される事態です。24日(月)は、トランプ米大統領がベネズエラ産原油の輸入国に対し、25%の追加関税を課す意向を示しました。26日(水)は、トランプ米大統領が全ての国から輸入する自動車に対して、現在2.5%の関税を大幅に引き上げ、25%の関税をかけることを正式に表明。対象国には日本も含まれ、日本の自動車メーカーにとって最大の輸出先である米国の関税引き上げで、国内企業の業績悪影響が懸念され日経平均株価の下落基調が鮮明となっています。トランプ米大統領は、4月2日(水)に大規模な関税計画を発表予定。これに対し、市場では警戒感が一段と高まっており、金相場の底堅い展開は今後も継続することが予想されます。国内金価格は、3月28日(金)に16,229円をつけ過去最高値を更新。新年度も更なる上昇が期待されます。

提供している金相場価格の専門家コメントは、バリュエンスジャパン株式会社(東証グロース上場、証券コード:9270)が運営している、ブランド品・貴金属・骨董品等の買取及び販売を全国展開する「なんぼや」公式ホームページに掲載されています。

【監修者情報】
水野崇(みずのたかし)